水産県長崎には、「長崎の魚」十二種が以下のように制定されております
【春】
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たい(鯛)
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あまだい(甘鯛)
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いか(烏賊)
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【夏】
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あじ(鰺)
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いさき(伊佐木)
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あわび(鮑)
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【秋】
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さば(鯖)
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あご(飛魚)
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ひらめ(鮃)
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【冬】 |
ぶり(鰤) |
ふぐ(河豚) |
いわし(鰯) |
鮑を除きましていずれもシーボルト「日本動物誌」の川原慶賀、倉場富三郎「グラバー図譜」の小田紫星、長谷川雪香、萩原魚仙の細密画を用いて、観光パンフレット、雑誌、ポスターなどで紹介されております
これらはまさに、長崎を代表する魚種といえるのでございますが、お気づきのように俳人にとっていささか気がかりなのは、季の整合性の問題でございまして、歳時記上の甘鯛は冬とされておりますものが春、烏賊の夏が春、飛魚の春・夏が秋、鮃の冬が秋、鰯の秋が冬にというようになっております
これは、一つには季節の魚というよりも代表的な魚を季節に割り振ったということ、歳時記の陰暦による季節区分とのずれ、さらには、実際の漁獲時期のずれというような事情があるようでございます
もっとも、これらの魚は長崎にお出かけになれば、季節を問わずお楽しみ頂けるものでございまして、旬の季節のと言わずおいしいものでございます
このリストの中でいの一番に、鯛が出てきているのはいかにも長崎らしいところでございまして、長崎では高級魚は何といっても鯛でございましょう、決して鮪ではございません、なぜならあれは大方、「冷凍」であるからでございまして、何が哀しゅうて、凍らしたもんまで食べんならんとですか、てことでございます
そいだけ、長崎の鯛はうまかとですけん、寿司屋んでん鮪など隅にしか置いとらんとこも多かとです
そうそう、長崎の名物卓袱料理でのお汁を「おひれ」と申しますが、これも鯛の「尾鰭」がついたというところから来ているようです(実際は尾鰭は入ってはおりませんが、お酒の前にこれを頂くのが決まりでございますから、味が悪ければすぐばれてしまうという意味でも、とても大切なという位置づけではございます)
鰺はこれは美味いものでございまして、天然物の活けは刺身にして良し、たたきに、寿司に、焼いても煮てもと最高の代物だと思うております
ただし、お値段の方も活けの鯛がグラム百五十円のときに百七、八十円から上でございますから結構なものでございます
また、最近「ごんあじ」と称する五島近海産のブランド鰺が、例の関あじに対抗しようかという値段で勝負を掛けておりますので、お試し願えば、ひと味、二鰺程は違うのではと思うのですがいかがでございましょうか 伊佐木につきましては、こちらではイッサキと呼びならわして一先と書いておりますが、「梅雨の頃に特においしい」と解説が付いてございます
あご(飛魚)は、季節が大きくずれるのですが、秋には対馬近海での漁があるようでございまして、五島近海であごが飛ぶのは春先だということでございます
「とびうおの学名の一部には、シーボルトが長崎の方言として紹介した『あご』が使われ・・」と解説にございますように、対馬暖流域に多く使われる「あご」の方が「とびうお」よりも本家の呼称ということもできましょうが仲々全国区とはならないようでございます
あごは煮干しならぬ「焼き干し」にした「焼きあご」という加工品がございまして、出汁にするのでございますが、これでなければ雑煮にならぬという向きもございますし、五島の饂飩にあご出汁のつゆというのも良い取り合わせでございます
ただし、焼いている分匂いもきつく、脂も多いので初めての方には好きずきがございましょうが
鰤は、こちらでは天然物を申すので、養殖でぶりサイズまで大きくなってもあくまでこれは「ハマチ」でございます、これも雑煮の具に使う家が多く、年末の贈答には欠かせないもののようでございます
やはり、出世魚の縁起を担ぐ習いでございます
さて、最後に大衆魚の鰯も秋を季としてはおりますが、やはり、冬に脂の乗った鰯は美味いものであります
市場へ行ってさえ、大衆魚とは名ばかりのとても高級魚になってはおりますが、塩焼き、煮付け、ときには刺身なども結構でございますし、指で開いて軽く干しても結構、叩いてつみれ汁などもよろしいかと・・、そう、今夜はぶつ切りにして鍋などにと思っております
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