5月、長崎県の北の海上、対馬の北端、上対馬町鰐浦地区では新緑の中に「ひとつばたご」の花が開きます
「ひとつばたご」は大陸系のモクセイ科の落葉高木で、自生地は国内ではここ鰐浦と木曽川中流の二カ所、しかも3000本を越える大規模な群生は鰐浦地区のみで、昭和3年1月18日、国の天然記念物に指定されました
(ひとつばたごは比較的繁殖力が強く、鰐浦地区では現在自然増が見られ、また対馬島内では盛んに移植も行われています)
ちなみに 「一つ葉」+「たご」 で、 ヒトツ+バタゴ ではありません
この木には別名も多く、木の材質が堅く、切り倒そうとしたらナタの方が折れたことから「なたおらし」、満開時に夜の入り江に映った純白の美しさから「うみてらし」、あまりの美しさながら何の木か判らなかったことから「なんじゃもんじゃ」等と呼ばれています
5月の連休には、この景色を多くの人に楽しんでもらおうと毎年地区主催の「ひとつばたご」祭が開催され、島内外から多くの観光客が訪れます
とはいえ、対馬は長崎県中心からはとても遠く、交通の便は福岡からの方がずっと近いとはいえ、ずいぶん遠いところで、そうそう簡単に訪れるというわけには参りませんので、この際手に入った写真などでその風景をご覧下さい
各地に花は広がっているようですが、長崎市内では県庁の庭の平和祈念碑の後ろに大きな木があって、今年は4月末に満開、連休の終わりには完全に散っておりました
対馬と長崎市の気候の違いゆえであろうと思います
ヒトツバタゴの花
ヒトツバタゴの木
雪が降ったようなという喩えが実感される景ですが、この花はまだ季語として認知されてはおりません
しかしながら、もう少し対馬が脚光を浴びるようになれば、そしてこの花が全国区になることができれば季語として十分に働く、北海道のライラックに負けることのない花となれると思うのですが
韓の国へと白妙の海てらし 利孟
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