うちの茶室の試み
壁は聚楽壁、襖は鳥の子調に少し雲英がはいったもの(それしかありませんでした)、障子は普通の障子紙で切り張りなど細工はしてありませんが、雪見障子です
床の間のある8畳の和室を改造してお茶室風にしようということでできあがったのが我が家の茶室、江戸畳と京畳のサイズの違いから京畳4畳半では余りが出ますが、畳以外には炉を切る、釘を打つくらいで終わらせようという改造です 2011年暮、畳廊下と表示の部分、板廊下だったものを傷みが出たこともあり、畳を敷き込みました 改造前の八畳間 江戸間の畳は5尺8寸*2尺9寸で、京畳は6尺3寸*3尺1寸5分です 改造にあたり考えたこと
ここでまず、江戸間8畳>京間4畳半での余った部分の処理をどうするかという問題が起きてまいります
炉の敷き込みのまま、切り欠きの畳を入れるというやり方もあるのですが、畳というのは案外にお安いのでこの際と、風炉の季節に合わせた敷き込みができるように丸畳1枚と踏込の半畳を余分に準備いたしました
多聞庵(炉の季節)
8畳の江戸間に京畳を入れた茶室
風炉の疊の敷き込み
間口二間の部屋の廊下とのしきりの障子をはずせば江戸間で10畳のスペースとなりますので、結構な数の客を一度に詰め込むということも可能になりました
そして関東の武家造りという間取りでは一般に床の間が左側に付きますそこで京畳をいれると大体赤のラインの様に疊が敷き込まれ部屋隅にの約50センチの半端が出ることになります
壁面を合わせてしまえばよさそうですが、そうすると天井の高さも下ろしてやらないとバランスがとれないというふうにだんだん話が大げさになってきますので(当然とんでもない金額が必要になってしまいますし)我が家では上の図のように床前には板を通し、客畳の向こうに幅の狭い疊を敷き込むことで辻褄を合わせ気持ちの上では4畳半ということでやっています
このやりかたですと客畳側に余裕があるために、無理に詰めれば2列にお座りいただくことも可能ですし、そこまでしなくても貴人畳から客畳まで鈎の手に坐っていただくと結構な人数があまり窮屈な思いをしていただかずお入り願えます
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さて、いよいよ茶室には不可欠の炉です
日本家屋の1階に炉を切ることはそう難しいことではございませんがやはり、床を切り取るということで、構造上問題が出てきやすいですし火を使うので、熱処理の問題もございますから、余程慎重にやる必要がございます、うちは土台からブロックを積んで床の支えを作り同時に炉壇の支えと断熱処理をするという段取りをしております
(本炉壇なら、あまり断熱は考えなくとも良いかも知れません)
なお、銅炉壇の自重を支えるために、ブロックの枠の底には砂利を底の高さに合わせて敷いて炉壇を下から受けております
炉壇そのものは軽いのですが、灰、五徳、釜&水という重さを縁だけで支えるのは随分無理があるように思います
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炉を切ってみますと、なにやら茶室らしき雰囲気はでてまいります
つぎは、釘の類となります
自在用の蛭釘には天井の補強が必要となりますし流派による向きの問題、炉の中心への下ろし方など結構面倒なものですから、大工との綿密な打ち合わせが必要です
床の花釘は、一般に無双となりますが、改造での打ち込みは壁面処理が出来ていないとなかなかに難しく、大工の創造力が問われるところです
床柱の釘は、床の位置が茶室としては変則でしたから通常よりずっと低めに打たないといけない様な気がしますものの打ってしまってから気づいたことで、いつ打ち直そうかと気になっておりますが、結局これでで良しとするしかないだろうということになっています
床の間は板張りですので、花入れの敷き板などの心配が要りません
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茶道口を出ますと板張の廊下となっておりますので、亭主がすわって挨拶するには具合が悪いということで、廊下と茶室の敷居の段差分の厚さ2cmほどのマットタイプの疊を準備して、必要に応じて敷き込むようにしております
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ところで水屋はと申しますと、さすがに既存の部屋の改造というだけの茶室、経費も含めそこまでの設えは難しく台所などの水回りを利用することで満足しております
といいながら5年、台所の改造が必要となり床板を張り替えることになりましたので、この際と思い水屋までは参りませんが、流しと棚だけ作ってしまいました
こうすると、風の通が良くなるような気がいたします
(疊は、部屋の形状に合わせて一枚一枚が微妙に違いますので
入れ替えるだけではうまく敷き込めないことがあります)
ちなみに、替えの畳を出して敷き替えるとその畳だけが焼けが薄かったりということのないよう、保管中の畳に適度の焼けがつくようにするのには結構気を遣います
撮影の都合上、手前の部屋とのしきりの襖を外しておりますが当然のこと普段は襖を建ててあります
しかし、こうしたら「夏座敷の設え」といった風情です