着物てのは、風通しがよいものだからどうしても寒いときには防寒具様のコートが必要になる、道行きとか、角袖とかいろいろあるが、愛用しているのはトンビである
ところで道行きてのは呉服屋で誂えられるのだが、このトンビとか同類の二重回してのは洋服仕立てだから和裁師には手に負えない、かといって洋服屋ならどこでもできるというものでもなさそうで、結構捜して、神田のガード下の粋な親父のやっている仕立屋に行き着いた
かれこれ20年ほども着てきた戦後の松屋製のトンビ、羅紗でしっかりしたものでお気に入りだったがいよいよいけなくなってきた:画像左
そこで、ちょいと贅沢をしてカシミアのトンビを誂えることにしたてわけ、それでできあがったのが画像右のもの
ことのついでにどうせの道楽だからと、裏地には羽裏をはらせたりということで遊んでみた、誂えたテーラーによれば結構似たような注文があるらしい。羽裏の幅では足りない背中両サイドはチャコールグレイの裏地を剥いでいる
トンビの羽根の部分の裏は別の裏地を使ってます
ところで、トンビというのはかように背中両サイドで袖覆いの部分が縫いつけられて、いわば羽が生えたようなものをいうのだそうで、これが両サイドから背中をぐるりと回したケープ状の覆いになっていると二重回しというのだそうです
もともとのインバネスは、かようなマント様のものではなく、ちゃんと袖がついているコートなのだとはテーラーの親父の蘊蓄です
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